遺言書と相続の関係

相続は遺言書の有無で異なる

遺言書は、亡くなられた方(遺言者)が、自己の財産を、誰に、どのように相続させたいか等について書き残したものです。そのような遺言書があった場合、原則として、相続は遺言書に従うことになります。
このため、遺言書があるかないかで、相続は異なってきます。


遺言書に何が書かれているか

遺言書に書くことができる事項は、法律に規定されています。しかし、実際に何が書かれているかは、解釈の問題になることがありえます。
また、遺言書には、法律に規定されていない事項が書かれていることもあります。それをどこまで尊重するかが問題になることもあります。

法律に規定された遺言事項としては、例えば、以下のようなものがあります。

相続分の指定

相続分の指定とは、遺言によって、共同相続人の全部または一部について、法定相続分の割合と異なった割合での相続分を定めることであり、その定めをすることを遺言によって第三者に委託することもできます(民法902条)。

遺産分割方法の指定

遺産分割方法の指定について、法律には、指定できる具体的な遺産分割方法は規定されていません(民法908条)。

最も多く利用されているのは、どの遺産を誰に取得させるか具体的に指定するものです。
「相続させる」という記載の遺言について、最高裁判所が平成3年4月19日、遺産分割方法の指定であり、それに拘束され、異なる遺産分割手続をなし得ないという判決を出しました。これにより、遺産分割方法の指定であっても直接権利移転の効力が認められる場合があることとされました。

また、遺産分割方法を定めることを遺言によって第三者に委託することもできます(民法908条)。

遺産分割の禁止

被相続人は、遺言によって、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて遺産の分割を禁ずることができます(民法908条)。
ただし、共同相続人全員の合意があれば、分割を実行することができるとされています。

遺贈

遺贈とは、遺言によって、相続人または相続人以外の人に財産を与えることです(民法964条)。

特定遺贈と包括遺贈について、以下のページに掲載しています。

特別受益者の持戻しの免除

被相続人は、遺言によって、特別受益者の受益分を遺産に持戻す必要がないという意思を示すことができます(民法903条3項)。
生前贈与や遺贈を特別な取り分として与えようとする被相続人の意思を尊重するものとされています。

特別受益の持戻しについては、以下のページに掲載しています。

推定相続人の廃除

被相続人は、遺言によって推定相続人を廃除する意思表示ができ、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なくその推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならないとされています(民法893条)。


遺言が有効か無効かの問題

遺言は、民法の方式に反していた場合や、遺言者の判断能力に問題があった場合(例えば認知症)など、無効とされる場合があります。
遺言が有効か無効かの問題は、遺言者が死亡して相続が開始した後、相続人間で生じる争いです。裁判所に訴えを起こして、有効か無効かを判断してもらうことになります。


遺留分の問題

遺言書があると、遺留分の侵害の有無が問題となりえます。
以下のページや、それに続く各ページでご説明しています。


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